伊藤 洋文
ITO YOBUN
株式会社ランドマーク 代表取締役社長
京都府八幡市生まれ。
山崎蒸溜所を対岸にのぞむ町で、男三兄弟の次男として育つ。
父はサントリーのデザイン部に所属し、絵を描くのが大好きな母は自宅で絵画教室を開いていた。
父はライフワークとして、年に一度、心斎橋と銀座で個展を開いており、
母に連れられて観に行っていたので、高学年になるまで父を画家だと思っていた。
家の二階にはいつも油絵の具の匂いが漂い、幼い頃から自然と“つくること“が生活の一部だった。
武士の家系という理由で始めた剣道は6歳の頃。
竹刀を振りながら、石清水八幡宮の麓の竹林で秘密基地を作り、近所の仲間と遊んだ。
休日の夜は、恒例の家族行事。父と祖父が交わすサントリーオールドのグラスの音を聞きながら、
「人が語らう時間のあたたかさ」を覚え、育った。
学生時代は剣道一色。主将としてチームをまとめ、剣道二段を取得。京都府大会で準優勝を経験した。
礼節と集中力を学んだこの経験は、後の仕事にも大きな影響を与えている。
将来を考えたとき、幼少期から染みついていた“デザインの世界“へ進むことを決意。
ただ、絵の勉強をほとんどしていなかったため、浪人生活に入る。
中の島美術学園で1年間基礎を学び、大阪芸術大学デザイン学部グラフィックコースへ進学。
在学中、上條喬久氏の南青山スタジオでアシスタントを務め、
デザインの本質──「客観的に観察し、構造を掴む」ことを学んだ。
卒業後は、幅広いデザインに触れられる老舗百貨店・高島屋のハウスエージェンシーTAD(現 ATA)に入社。
広告・カタログ・ショップ立ち上げなど多岐にわたる案件を担当し、
“生活者のリアルに届くデザイン“の基礎を身につけた。
2000年、父の他界。
ある夜、会社近くのBARに立ち寄ると、棚の奥に父がデザインした「MIDORI」のボトルが光っていた。
ロンドンでもパリでも、同じボトルを見かけた。
「本人はもういないけれど、作品は今も人を笑顔にし続けている。」
その時、デザインという仕事の“本当の力“を感じた。
モノづくりの先に、人の心がある──その確信が、今の自分の原点となっている。
2005年、浪人時代の友人であり、現グループ会社S3ブランディング代表の川田くんに誘われ、ランドマークに参加。
営業部門のない自由な小さなデザイン事務所で、創業代表の里見さんに経営を学び、
自ら企画・プレゼン・制作まで一貫して担当。
やがてサントリーをはじめ、数々のブランド、そして出会った人々から信頼を得るようになった。
2025年には、自身の原点である「人が語らう場」を形にしたBARを中目黒にオープン。
デザインとお酒、アートと人のつながり──それらを“笑顔で循環させる“ことをテーマに、
空間・プロダクト・体験を総合的にデザインしている。
好きなことはBAR巡りとゴルフ。
70歳でスコア70台を目指しながら、人生もデザインも“余白“を大切にしている。
受賞歴
- 1996 毎日デザイン広告賞
- 2001 電通広告賞流通部門賞